いまだにどうしてこんなことになったのか考えている。 くりかえしくりかえし、はじめの日のことを考える。 夢の中でその日は青い。 夏の日の海のように透明で青い。 どこまで巻き戻せば是正できるのか。 記憶をさかのぼれば、色とりどりのあめだまが 線を引いて逆巻きに通り過ぎていく。 みなもとには、黒髪の騎士がいる。 神様のように立って時の逆流を阻む。 かれは愚者の妄想さえも許さぬらしい。 幾たびも、その物静かな眼差しを思い返すうちに、気づいた。 かの男は、誰かに似ている。 これまでの自分の人生に関わった誰かと、確かに同じ顔をしている。 夢の中では、それが分かる。 ところが目が覚めるといつも、解答を忘れている。 乱れた思いで寝苦しい床を出れば、こんなときに限って、少女は先に目覚めていて、この広々とした新しい借家の中のどこにいてもいいのに、居間のテーブルに、ついている。 まるで玄関への出口を塞ぐようだ。 彼女は兎がいないので、退屈そうで、 自分を見ると、小さな声で挨拶をする。 おはよう。今日も、仕合です。 |
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